サーチファンド・ジャパン
インタビュー

Interviews
Ryo OHTOMI

 Interview #

3

2023

 年

12

 月

大富涼

Ryo OHTOMI

アレスカンパニー

代表取締役社長(元サーチャー)

愛知県出身、一橋大学卒、同MBA修了

vol.2 | サーチ活動を通じたアレスカンパニーとの出会い

続いて、サーチャーとしてのサーチ活動期間(承継したい企業を探す期間)でのご経験をお聞きします。まずは、大富さんがサーチ活動期間で具体的に行った活動内容について教えて下さい

 (大富)私は、(当時前職と兼業でサーチャーをやっていたので、)SFJからの紹介案件を中心に検討しつつ、自身でもM&A仲介会社にコンタクトして情報交換をしていました。意識してやっていたのは、情報が来たら一両日中には目を通し、自分が承継するにあたってプラスに感じている点はどこなのか、解消しなければいけない課題はどこなのか、をなるべく具体的にSFJにフィードバックしていました。自身のターゲット、つまり承継したい企業イメージをできるだけ言語化してお伝えをするようなことは意識していましたね。

 (伊藤)たしかにご自身のターゲットをかなり明確にされている意識は感じました。その他にも大富さんが良かったと思うポイントは2つあって、1つは情報収集に対して能動的であったこと。自分で情報を探すハードルがあった中でも、SFJに対して「最近動きがないですけど大丈夫ですか?」とか、「あの企業のステータスっていまどうなってます?」とか、そんなコミュニケーションをかなりしていただいた印象があり、能動的な姿勢はとても素晴らしいなと思っていました。

 もう1つは、紹介した企業に対して、どうやったら課題を解消して投資できるか、ということを前向きに建設的に考えている意識があったので、青い鳥探しになっていなかったように感じます。現実的に、誰が見ても投資したい100点満点の投資候補先などない中で、この姿勢はとても重要です。建設的な意識があったからこそ、短い期間でも自分が納得できる会社を探しきれたのかなと思っています。

実際、サーチ活動期間中はどんな領域をターゲット領域としていたのでしょうか?

 (大富)自分自身のミッション意識として、中小企業の経営力を上げることで日本経済の活性化に資することを成し遂げたい、ということがある、とお話ししましたが、今の日本がグローバルで戦える領域を考えたときに、食文化、観光、エンターテイメント(アニメなどのサブカルチャー)であれば、世界的に認められているし、今後も日本として伸ばしていくべき領域だと感じていました。ですので、その3つのどれかに関連するような領域の企業を、サーチ活動中のターゲットとしていました。

そんな領域を探索していた時にアレスカンパニーに出会うわけですね。改めてアレスカンパニーに興味を持った理由について教えて頂けますか?

 (大富)先に簡単に説明しておきますと、アレスカンパニーは、プライズゲーム(いわゆるクレーンゲーム等)の中の景品を、ゲームセンター等に卸したり、企画をしたりしている企業です。とある事情で承継先を探しているという情報を頂き、できる範囲でビジネスDDを進めていくと、プライズゲームのマーケットが非常に伸びていることに気づきました。

 一方で、商品の調達、いわゆるサプライチェーンには業界として課題があることにも気づきました。この業界には中小企業が多く、アレスカンパニー自体が成長することで業界のメインプレイヤーになり得るし、それを通じてマーケット全体の課題も解消できるプラットフォーマーになれる可能性がある、と感じたことが興味を持った理由です。自分が情熱を持てる領域で、プラットフォーマーとしての地位を確立できる可能性があり、さらに、そうなることで業界課題を解決でき得る、というのはとても魅力的な企業でした。

大富さんは運も持ち合わせているように感じます(笑)

 (伊藤)そこも投資検討スタンスの賜物だと思っています。前向きに建設的に検討するマインドだったからこそ、たくさんの情報の中から、自分だけが見いだせる光を見つけられたのだと思いますね。

実際アレスカンパニーに出会えて、承継を実現するわけですが、投資実行のフェーズ(いわゆるエグゼキューション)の時はどのように進められたのですか?

 (大富)エグゼキューションはSFJにとても助けられました。ビジネスDDは自分でもできますが、投資家としてどのような観点で案件を判断するべきかという着眼点はもちろんのこと、その判断に必要な財務シミュレーションの組み立てや、株式譲渡契約書、また銀行借入の交渉などM&A実務はSFJなしでは成しえなかったと思います。特にM&A特有の契約は本当に難しいんです。どこにリスクが内在していて、どの部分だったら交渉上受け入れてよいかの相場観等、やったことがないと全く分からない。その点を一緒に見ていただきながら、たくさんご助言頂いたのは、とても助かったポイントでした。

 (伊藤)M&Aに関する契約や条件は、そのあとの経営を左右しかねないんですよね。その点、我々のようにM&Aの専門家がナビゲートをすることで、お役に立てる部分があったのかなと思っています。一方で、大富さんの場合、分からないからと言ってSFJに丸投げすることなく、契約や条件の内容や意味合いを理解しようとしてたくさん質問をぶつけてくれたことは、とても良かったと思います。銀行借入の条件等、経営していると必ずどこかで経営者として向き合わなければいけなくなりますので、そこを理解しようという姿勢が、経営フェーズでも活きたのだと思います。

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▼大富涼 連載インタビュー

vol.1 | サーチファンドにつながったキャリア

vol.2 | サーチ活動を通じたアレスカンパニーとの出会い

vol.3 | 大富社長の誕生

vol.4 | GENDAグループへの参画とアレスカンパニーの未来

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