サーチファンド・ジャパン
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Kazushige KOBAYASHI

 Interview #

7

2024

 年

6

 月

小林和成

Kazushige KOBAYASHI

MCPアセット・マネジメント

マネージング・ディレクター

vol.1 | 日本のPEファンドマーケットの開拓者

 当社は2023年11月に、東京都の資金により都内の事業承継を推進するファンド・オブ・ファンズである、「中小企業M&A投資事業有限責任組合」(通称:事業承継M&Aファンド・オブ・ファンズ、以下、「事業承継FoF」)からの出資を受け、Tokyo Search Fund投資事業有限責任組合(以下、Tokyo Search Fund)を設立しました。このTokyo Search Fundに出資をいただいた事業承継FoFを運営するMCPアセット・マネジメント株式会社のマネージング・ディレクター小林和成様から、Tokyo Search Fund設立の背景や今後のサーチファンド及びサーチファンド・ジャパンへの期待などをお聞きしました。

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(伊藤:サーチファンド・ジャパン代表取締役社長)今日はお時間ありがとうございます。最初に小林さんの自己紹介をお願いします

(小林:MCPアセット・マネジメント株式会社 マネージング・ディレクター)

 私は大学卒業後、三菱商事株式会社に入社し、グローバルなM&Aアドバイザリーやファンド投資など様々な業務を経験しました。特にロンドン駐在時代には南アフリカの企業とのファンド設立や海外ベンチャー投資などにも携わり、今振り返っても貴重な経験をさせてもらいました。

 1990年代の終わり頃に日本に帰国のタイミングでファンド・オブ・ファンズ(=複数の投資ファンドに対して投資をするファンド、以下「FoF」)というビジネスを知りました。当時の日本の機関投資家は、まだPEファンドへの投資を殆ど行っていなかった時代で、三菱商事内で自ら企画書を書いて提案をし、PEファンドへ投資を行うFoFの事業を立ち上げました。

 欧米のPEファンドへ投資を行うFoFから始め、その運営が順調に進んだこともあり、三菱商事と大同生命との合弁でエー・アイ・キャピタル株式会社を設立し、2000年代の初めに日本のPEファンドに投資を行うFoFを立ち上げました。

 当時の国内PEファンド市場は、アドバンテッジパートナーズ、MKSパートナーズ、ユニゾン・キャピタルが「国内御三家」と呼ばれている時代でして、日本発のPEファンドがほとんどない時代でしたので、次世代の日本発PEファンドを生み出していこうと、奔走していました。今でいう、Emerging Managers Programの走りのようなことをやっていましたね。まだ実績のないファンドマネージャーが最初に設立するファンドにも積極的に投資を行い、現在も日本のPE市場を牽引するファンドを幾つか生み出すことができました。

 その後、エー・アイ・キャピタルから、キャピタル・ダイナミックスというグローバルFoFの会社に転職し日本法人を設立した後も、アジア投資の責任者として投資をする傍ら、引き続き日本でのファンド投資もしてきました。

 現在は、独立系オルタナティブ投資会社であるMCPアセット・マネジメント株式会社に籍を置いております。

(伊藤)お話を伺っていると、黎明期から日本のPEファンドマーケットを開拓し、育成されてこられたのだなと感じました。現在の日本のPEファンドマーケットについてどのようにご覧になられているのでしょうか。

(小林)グローバル市場と比較した際に、日本のPEファンドの数はまだまだ少なく、マーケットの成長余地は大いにあると感じています。米国では、ファンドの数がものすごくたくさんあり、大小限らず、戦略の多角化もなされています。日本ではまだまだこのレベルには達していません。したがって、引き続き積極的に、新しくポテンシャルのあるファンドを見つけて支援しています。

 まず中小企業投資、いわゆるスモールキャップと呼ばれる領域については、まだまだそれをカバーするファンド及び投資家が不足しています。ファンドの側から見るとどうしても投資となると、大小に関わらず同じような工数がかかる中で、大きな投資を行った方が効率が良いため、中小企業に対する投資はどうしても消極的になってしまいます。結果として、現状中小企業への投資を丁寧に行ってくれるファンドも国内では少なく、またそれを支援する投資家も限られていると感じており、これらの問題解決を図りたいと考えています。

 また、日本発の大企業投資ファンド、いわゆるラージキャップファンドも出現するように支援をしていきたいと考えています。国内ラージキャップ市場は外資系ファンドが大きな市場シェアを占めていますが、それに加えて、日本で大きなファンドを作って、場合によっては日本からグローバル展開してくようなファンドも作っていきたいと考えています。最近日本市場に参入してきたEQTというラージキャップファンドも、元はスウェーデン発のファンドで、グローバル展開を進めています。こういった事例を日本発で1つでも作っていきたいですね。

(伊藤)ありがとうございます。日本のPEファンドマーケットの現在地が良く分かりました。

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▼小林和成(MCPアセットマネジメント マネージング・ディレクター) インタビュー

vol.1 | 日本のPEファンドマーケットの開拓者

vol.2 | PEファンドマーケットの開拓者がサーチファンド・ジャパンに投資した理由

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