コラム

【サーチャーインタビュー】大屋貴史氏に聞く、サーチ活動の実態(前編)

伊藤(サーチファンド・ジャパン代表):サーチファンドという仕組みについて、日本でもいろんな情報が取れるようになってきたと感じています。一方で、実際に活動している人たちの実態はまだまだ分かりにくいとも思います。

今日は当社と一緒に事業承継を目指して活動しているサーチャー大屋さんに、具体的な動き方やサーチファンド・ジャパンのサポートの実態を伺ってみたいと思います。大屋さん、よろしくお願いします

大屋(事業承継を目指すサーチャー):よろしくお願いします。

伊藤:それでは、まずサーチファンドを知ったきっかけからお話いただけますか?

大屋:伊藤さんとは実は大学時代の知人でして、noteとかfacebookを通じて活動は見ていました。どうも大学時代の知人の伊藤さんが会社経営をしているらしい、その会社を退任されてサーチファンド投資を始めるらしいということで、サーチファンドという仕組みを初めて知りました。

当時私は、フロンティアマネジメントというコンサルティング会社で企業再生に取り組んでいました。もともと三枝匡さんの本を読みプロ経営者にあこがれてミスミに入った時から企業経営への道を志し、フロンティアマネジメントで社長の右腕として経営に携わることができました。一方で、中小企業のオーナーに多くお会いする中で、オーナーシップや事業承継の問題に触れ、コンサルタントとしてできることの限界を感じていました。

そんな時にサーチファンドという仕組みを知り、知り合いからも話を聞いたりしながら理解を深めていった結果、当時自分が感じていた、第三者承継を実現しそこに自分が携わるための手段がサーチファンドだと思い至りました。自分が本当にやりたかったことを実現できる仕組みはこれしかないと思ったのが応募したきっかけですね。

伊藤:ありがとうございます。そういったきっかけを伺うと改めて嬉しく思います。一方で、日本でも例の少ない新しい仕組みにチャレンジするのは不安もあったと思います。最後の決め手になった点、最後まで不安だった点があれば伺えますか?

大屋:まず不安と前向きな気持ちは表裏一体というか、チャレンジする人が少ないからこそやりがいもあるとは思っていました。リスクも感じつつ、人がやってないことをやる充実感みたいなものを感じましたので、不安と前向きな気持ちはセットでした。

私自身よりも家族の不安の方が大きかったと思います。家族にサーチファンドの話をしたのは去年の年末だったと思いますが、「やりがいを感じている仕事がある中でサーチなんとかっていう、よく分からないものをやるなんて正気の沙汰じゃない」という反応でした。

その時は、サーチファンドのすばらしさを繰り返し説明するしかなかったんですが、一方でサーチファンド・ジャパンは、最初は本業を継続しつつ空いた時間でサーチ活動を進めることを推奨されています。私も最初はそういう形で始めました。4カ月くらいやってみて、実際に案件をご紹介いただいたり、投資仮説を考えたり、オーナーさんと面談させていただいたりを通じて、サーチファンド・ジャパンと一緒に何ができるか非常に具体的に理解することができました。この期間を通じて、すごく信頼できるパートナーだなとはっきりと思いましたし、それと同じぐらいにサーチファンドはやりがいがある仕事だと思いました。

企業再生の仕事をしていた時に、こういう会社を引き継いでみたいなあと思っていた会社が目の前に出てきたり、オーナー様と承継の話をできる機会が何件もでてきて、これこそやるべき仕事だと思いました。なので、最初の入り口は不安もありましたし、家族の反対もありましたけども 最後専任になるときは正直ほとんど迷いはなかったですね。退職届けを出してサラリーマンを卒業するときに、郷愁みたいなものはもう全然ありませんでした。

伊藤:サーチファンドを支援する仕組みは様々で、最初の段階から現職をやめてサーチ活動に専念することを求める投資家もいます。それも一つの形だと思いますが、我々はサーチ活動や中小企業承継のイメージを具体的に持っていただいてから本格的に飛び込んでいただく方がお互いにとってメリットが大きいと考え、チャレンジしやすい仕組みにしているつもりです。

サーチ活動に飛び込んだ後に「思っていたのと違う」となった場合、後にも引けず、もやもやした気持ちのまま事業承継をすることになると、良い結果にはつながらないと思っています。

いずれにせよ、サーチ活動にコミットしていただいた以上、成功させないといけないという気持ちを改めて強くしました。ぜひ、一緒にがんばりましょう。

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伊藤:では、サーチ活動を始めてからの動きについて伺いたいと思います。質問の前に、簡単ですが、投資検討の進め方のイメージをお伝えしておきたいと思います。

まず、最初にソーシング/案件を探す段階があります。ご自身で探されたり、我々からご紹介したり。まずは、ノンネーム(会社名非開示)の情報で初期的な検討をしたうえで、より詳細な検討をしたいということであれば、オーナーに情報開示を依頼し、許可をいただけたら、より詳細な情報や面談等も踏まえて投資検討を行っていきます。

この後の重要なステップが、意向表明書/基本合意になります。「○○という条件でM&Aをさせていただきたい」という意思表示です。ここで、大枠の条件に合意できると、譲渡契約に向けて、デューディリジェンスや細かい論点の整理にはいるという流れになります。

実は大屋さんは、このプロセスの中で意向表明書提出までをすでに経験されています。そんなご経験を踏まえて、サーチ活動の実態について質問してみたいと思います。

まず、これまでおおよそ何社くらい投資対象として検討されましたか?例えばノンネームの段階の数だといかがでしょうか?

大屋:本当に限られた情報のものを含めると、数十件の後半くらいだと思います。これは、まったく箸にも棒にもかからないものではなく、ある程度譲渡意思のある企業、投資検討の俎上に乗る可能性が高い企業の数でこのくらいだったと思います。

直接自分に話が来たものもあれば、M&Aセンターから打診されたものも含めての数ですね。

伊藤:その中で、オーナーとお会いするところまで検討を進めたのは、どのくらいでしたっけ?

大屋:3件ですね。そのうち意向表明書を2件出しています。しかし、いろんな事情があってまだ事業承継の実現には至っていません。M&Aの難しさを感じています。

後編に続く

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