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サーチファンド・ジャパンは、2025年10月に設立5周年という一つの節目を迎えました。
この5年間を振り返ると、私たちはビジネスの論理だけでは割り切れない、多くの感情に向き合ってきました。事業承継という人生の一大決断に臨む企業オーナー。そして、大きなリスクを背負ってM&Aに挑み、もがくアントレプレナー。また、新しい事業へのチャレンジを応援してくれるパートナー。
彼らと向き合う中で、私たちは自分たちなりの価値観を大切にしてきました。
5周年のこのタイミングで、私たちの行動指針となっているMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を通して、私たちのこだわりを、ありのままの言葉でお伝えしたいと思います。
当社のMVVは、ちょうど1年前、社員採用を本格化するタイミングで策定しました。策定といってもゼロから作ったものではなく、普段社内で自然と交わされていた言葉や、判断の土台となっていた価値観を整理し、言語化したものです。
ですので、私たちの価値観が自然体で表現されていると思います。
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【事業と組織、二つの視点から描くMVV】
当社のMVVは、①事業として成し遂げたいこと、②組織としてありたい姿、という二つの視点で策定しています。
私たちのMVVの中でも、日々の行動や意思決定において、直接的な指針となっているのがバリュー(行動規範)です。このバリューの中から、特に私たちらしさが表れているものをいくつかご紹介します。
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1. 誠実である、フェアである
文字面だけを見ると、当たり前の表現かもしれません。しかし、私たち投資家という立場は、資本主義の仕組みの中で強い力を持つ存在です。例えば、投資を受けるサーチャーにとって、私たちは強い権力を持つ存在に見えるでしょう。
実際にそのように振る舞うことはできるかもしれません。しかし、私たちは、サーチャーや関係者との対話において、決して自らの立場や優位性、また知識の差を振りかざすことはありません。たとえその結果、当社にとってその場で有利な条件を逸することがあったとしても、長期的な信頼関係の方がはるかに重要だと考えているからです。
例えば、私たちとサーチャーとの間では、出資や経営に関する契約を取り交わします。かつて、この契約書のドラフトに、私たちに一方的に有利(=サーチャーに不利)な条文を盛り込むことを求めてくる関係者がいました。しかし、これは私たちのバリューに反するもの、即ちサーチャーに対してアンフェアな姿勢そのものであり、条文に入れませんでした。
またサーチャーが活動をスタートする前には、サーチファンドのポジティブな面だけでなく、リスクや過去の失敗事例も隠さず共有するようにしています。
私たちのサーチファンド投資は、M&Aを目指すアントレプレナー(=サーチャー)の存在なくして成り立ちません。サーチャーなくして投資先の経営もできませんし、長期的には優秀なサーチャーに選ばれる投資家でなければ、サーチファンド投資事業自体が成り立たちません。
優秀なサーチャーとの長期的な信頼関係を築くための、最も現実的で、最も強力な基盤がこのバリューなのです。
これは対サーチャーだけでなく、ビジネス上のすべてのパートナーとの対話において、同様のポリシーで臨んでいます。
2. サーチャーの成功にコミットする
このバリューは、私たちのビジネスモデルそのものに深く根ざしています。サーチャーが成功しないで得られる投資リターンは、私たちにとって成功ではありません。これはサーチャーに成功してもらいたいという青臭い思いに加えて、現実的な理由も含んだ考えでもあります。
私たちは投資家として、投資リターンを最大化することにコミットしており、そのための方法論として私たちはサーチファンドという仕組みに投資をしています。では、サーチファンド投資の成功のカギは何でしょう?
私たちは、サーチファンドが成功するためには、サーチャーが心からやりたい事業に、フルスイングで取り組める環境を整えることが、結果として最も大きな投資リターンに繋がると信じています。
もし私たちが、短絡的なリターンを追求するためにサーチャーの判断に過剰に介入したり、コントロールしたり、さらには投資や経営を主導したりすれば、一時的には成果につながりやすいかもしれません。しかし、それはサーチャーの自律性や成長を妨げ、ひいては長期的なパートナーシップを毀損する行為に他なりません。そうした関係性では、真の事業成長は望めないと考えます。
私たちは、サーチャーが描くビジョンを最大限に尊重し、彼らの挑戦を支えることに全力を尽くします。事業の承継から経営、そして将来の出口戦略に至るまで、私たちは常に彼らの隣(決して前ではなく)に立ち、彼らの成功を自分の成功と捉え、行動します。

3. きれいごとを諦めない
私たちは、ビジネスの世界に生きる投資家として、利益を追求する責任があります。しかし、だからといって利益のために簡単に「きれいごと」を諦めるつもりはありません。
私たちの会社は、もともと青臭い思いから始まりました。M&Aを目指す個人に、M&A候補先もない志だけの段階で投資をするという、これまでにない仕組みを立ち上げるにあたって、「個人をどこまで信用できるのか?」「もっと監視を強化したほうがよいのではないか」といった議論もありました。
しかし、私は「M&Aを通じたアントレプレナーを輩出する」という理想を追求したいという強い思いから、アントレプレナーに投資をする以上、その人を信頼すべきである、という考えを貫かせてもらいました。
「きれいごと」を貫いた結果、関係者の皆様に迷惑をかけたこともあります。しかし、振り返ってみてもやはり、きれいごとをぎりぎりまで諦めないことで得られたものも大きかったと感じています。
私たちの仕事には、往々にして現実的な制約や責任が伴います。それでも、私たちは青臭い思いを胸に抱き、それを追求します。現実的な厳しさと、理想的なきれいごとの両立。その両方に向けて最善を尽くすことこそ、私たちが大切にしたいバリューなのです。
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5周年を経て、これから目指す未来の姿
このようなバリューに基づき、私たちは5年間を歩んできました。そして、これから目指す未来の姿も、MVVの中に、ミッションとビジョンという形で表現しています。
私たちの事業面でのミッションは、「優秀な人材が中小企業を承継し再成長させる、新しいアントレプレナーシップのかたちを日本に定着させる」ことです。このミッションには、あえて「サーチファンド」という言葉は入れていません。これは、私たちがサーチファンドという狭義のスキームに固執するのではなく、M&Aを通じたアントレプレナーの輩出という本質的な目的を追求していくという思いを示しています。
日々寄せられるアントレプレナーからの相談やニーズ、またこれまでの経験から生まれるアイディアをヒントに、私たちは既存の枠組みにとらわれず、常に革新的なアプローチを探求し続けます。
また、私たちは組織面でのミッションも定義しています。それは「投資といい人が両立する組織である」というものです。
投資家という存在は資本主義の仕組みにおいて、どうしても強い力を持ちやすい立場であり、ときに横暴になりかねない危険性をはらんでいます。
私たちはそうした傲慢さを戒め、「いい人」でもありたいという強い思いを込めて、この言葉を大切にしています。このミッションを追求することは、私たちがサーチャーや企業オーナー、そして共に働く仲間と、長期的に健全でサステナブルな関係を築くための生命線なのです。
時には厳しい判断をしなければいけない場面はあるでしょう。しかし、ぎりぎりまで相手の立場や幸せも考え、その両立を目指します。
5周年を迎え、私たちの羅針盤はより鮮明になりました。この羅針盤を胸に、私たちは次なる5年、10年に向けて、チャレンジを続けていきます。