サーチファンド・ジャパン立上げメンバー対談 | vol.1

サーチファンド・ジャパン発足から9か月がたちました。これまでの経緯や今感じていることを、合弁パートナー4社のメンバーで振り返ってみました。

各社に対する印象などサーチファンドと直接関係ない話も多くなりましたが、メンバーの雰囲気が伝わりそうな会話となりましたので、そのまま掲載いたします。

参加者

  • 伊藤(当社代表)
  • 塚田(日本M&Aセンター、以下JMAC)、
  • 佐竹(キャリアインキュベーション、以下CI)、
  • 巻島(日本政策投資銀行、以下DBJ)
  • 酒井(DBJ)

伊藤:今日はよろしくお願いします。サーチファンド・ジャパン立ち上がって9か月経ちましたね。普段、毎日のように業務の話はしていますが、改めて当社が立ち上がるまでの経緯や、活動開始してこれまでの活動について、それぞれが今感じていることをお伺いしてみたいと思っています。

全員:よろしくお願いします。

伊藤:そもそもこの活動、私の視点では、サーチファンド形式で投資ができる存在を創ることを目指し、2019年に仲間集めを始めたところからスタートしています。その中でここにいる方々とご縁を頂きました。一方でみなさんも同じようなタイミングで、サーチファンドを研究されていたとも伺っています。改めて、みなさんがサーチファンドを知ったきっかけやこのプロジェクトに関わった経緯を聞かせて頂けますか?

-少しずつ仲間を増やしながら、どうやったらDBJの中で実現できるか喧々諤々-

巻島(DBJ):最初にサーチファンドを知ったのは2017~2018年にMBAに留学しているとき、同級生にサーチ活動をやっている人がいたのがきっかけでした。留学中はそんなに研究したわけではないんですが、仲のいい友達がやっていたので面白そうだなと思っていました。

もともと地域の活性化に関心が強くて、例えば震災の後に2年間仙台にいたときに、いいものがあってもそれを活かせる/広められる人がいないという問題を感じており、優秀な人が地域で活躍する仕組みとして、サーチファンドがその解になり得ると感じて2019年に本格的に研究し始めました。

伊藤:その当時DBJの中にサーチファンドを知っている人はいました?

巻島(DBJ):その当時はほとんどいなかったと思います。留学している人は知っていたかなあ。

酒井(DBJ):巻島とは同期なんですが、ある日巻島が「サーチファンドやるから応援して」と企画書を見せられたんです。最初はよく分からなかったんですが、よくよく話を聞くと、DBJの業務で事業承継や地域活性化に関わっていて感じた課題への解になるんじゃないかと思って、一緒に活動を始めました。

伊藤:DBJから来ていただいているメンバーは他にも何名かいますが、巻島さんが巻き込んでいったんですか?

酒井(DBJ):そうですね。巻島が初めて、私ともう一名の3名でずっと企画していました。そのうちだんだん応援してくれる人も出てきて、少しずつ仲間を増やしながら、どうやったらDBJの中で実現できるか・・と喧々諤々議論が始まっていった感じですね。

塚田(JMAC):DBJって固い会社のイメージもあるんですけど、サーチファンドという新しい取り組みを立ち上げる、さらに若いメンバーで立ち上げるのって、異例だったんじゃないですか?社内的にはどういう見え方をされていたのかは気になります。

巻島(DBJ):実はDBJにはもともと新しいことを始める文化はあって、ボトムアップの文化でもあるのでこういう動きは奨励されているんです。一方で、銀行なのでとりあえず何でもやってみろというよりは、一つ一つリスクをつぶしてしっかり検討するプロセスは必要でもあります。なので、サーチファンドもかたちになるまでは時間かかったし、いろんな意見も出ました。特に言われたのは、70~80代のオーナーが、30~40代の若者にほんとに事業を渡そうという気になるのか?というポイント。事業承継の現場に携わっている人からすると、これまでの事業承継は50~60台に次のバトンを渡すイメージ。仮にオーナー/社長が30代の後継者を認めたとしても、従業員はついてくるのか?といった議論は出たし、私自身もこれは実際にハードルになると思っている。だからこそ、我々がこの流れを変えていきたいと思っている。鶏が先か卵が先か、だとは思いますが。

―「サーチファンド、ええやん。やったらええやん」―

伊藤:塚田さんはもともとサーチファンド知ってました?

塚田(JMAC):実は前から知っていました。このプロジェクトの話が来る1年位前に、日本M&Aセンター社長の三宅と合宿しているときに、「日本M&Aセンターでもサーチファンドやるべきだ」というプレゼンをしていたんです。

前職で人材紹介会社にいたこともあり、2~3年前に中小企業向けのCXO戦略のようなことができないかと考えていて、社内でいろんな人に壁打ちしている中で「それだったらサーチファンド面白いんじゃない?」という意見をもらい、スキームとか意義をまとめて社長の三宅に提案したという経緯なんです。

伊藤:三宅社長の反応はどうでした?

塚田(JMAC):「ええやん。やったらええやん」と(笑)。で、具体的にどうしたらいいかな、と思っていたら、今回のご縁をいただきました。

巻島(DBJ):日本M&Aセンターさんって、そういう新しい企画を社員から上げるような文化は強いんですか?

塚田(JMAC):正直、かつてはトップダウンのカルチャーだったんです。それが、ここ1~2年くらいで生まれ変わって人材ファーストを掲げるようになった。そこから新規事業がどんどん出てきているんです。第二創業期という印象ですね。

―経営を経験させないと経営者は育たない。サーチファンドはその解になる―

伊藤:キャリアインキュベーションは、もともと社長の荒井さんと懇意にさせて頂いていました。サーチファンドの成功には優秀な人材を集めるのが必須なので、是非パートナーとして入って頂きたいと思い参画をお願いしました。佐竹さんの参画は、荒井社長からご指名だったんですか?

佐竹(CI):はい、いきなり荒井に呼ばれて「サーチファンドの打ち合わせあるから来て」と言われて行ったら、DBJやJMACの皆さんがいる提携協議でびっくりしました(笑)

伊藤:サーチファンドの仕組み自体はご存知でした?

佐竹(CI):はいサーチファンド自体は、伊藤さんが登壇されていたイベントとか、似たようなことをやっている知人を通じて知っていました。人材業界では「プロ経営者が欲しい」という割に、プロ経営者になる道が狭いので育てる道が無かったと思います。「経験させないと育たないでしょ」という思いもあり、サーチファンドの仕組みには非常に関心をもっていました。

-サーチファンドで事業承継へのステレオタイプを変えていきたい-

伊藤:少し話題を変えますが、先ほどDBJさんの話に出た「若い人が事業承継できるのか?」という点に関して、日ごろから売手オーナー様に接している塚田さんはどう感じられています?

塚田(JMAC):確かにその壁はあると思います。ただ、実際には勝手に作られた偏見だとも思うんですよね。若くして事業承継した人、経営の現場に放り込まれた人がほんとに失敗しているの?というのは疑問。「若すぎる」というバイアスというかステレオタイプなだけで、実際はそういう事業承継でも十分に成功できると思う。だいぶ時代が変わっている気はするので、その印象は変えていきたいですね。

vol.2へ続く

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